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●12-28(1229-0010)#Er#鳥インフルエンザ、ヒト患者-東アジア(54):リスク評価#
情報源:Canadian Pressオンライン版Health news、12月27日。 米国CDCが鳥インフルエンザ汎流行リスク評価実験を実施予定。 警報の頻度と緊急性は次第に増してきている、すなわち、世界はまさに、東南アジアの家 禽集団に壊滅的な打撃を与えている病原性の強い鳥インフルエンザ株によるインフルエン ザ汎流行発生の縁にあると専門家らは危惧している。しかし、この鳥インフルエンザA (H5N1)型株として知られるウイルスが、本当に鳥類からヒトに、さらにはヒト~ヒトへと 感染拡大する能力を獲得するのであろうか?もしそうしたことが可能ならば、そうした脅 威的な事件はどの程度の確率でおきるのか? 新年2005年早期に、米国の科学者らはこうした疑問に何らかの回答を与える実験を開始す る予定である。この作業はいつ頃の時期に汎流行が開始するかを示すものではない。そし てその研究結果は、科学者らが予言するようにこのウイルスが進化することを裏付けるも のでもない。「多くの科学がそうであるように、これは自然の模倣である」とカナダ国立微 生物学研究所の学術責任者Dr. Frank Plummerは解説する。「この実験は実際に起こるこ とを忠実に再現するものではない。しかし私は、この実験が、H5N1型ウイルスがこうし た進化を遂げる傾向があることを示唆してくれると思う。」 ジョージア州アトランタ市にあるCDCインフルエンザ研究部の研究者らは、鳥インフルエ ンザA (H5N1)型ウイルスとヒトインフルエンザウイルスを[サブユニット]再構成という方 法で組み換えさせる予定である。生存可能なハイブリッドウイルスが、感染性があるか、 感染動物から健常な別の実験動物に容易に感染伝播するか、およびそれぞれのウイルスが 惹起する疾患の重症度を記録するため、ヒトの代用モデルとなる動物に感染させられる。 言い換えれば、CDC研究者らは汎流行の能力を持つウイルスを意図的に遺伝子操作して作 製することになる。この研究は危険性が高いが、きわめて重要な研究であるとインフルエ ンザ専門家らは力説する。「これは危険な実験である」とテネシー州メンフィスのセント・ ジュードSt. Jude小児研究病院の世界的に著明なインフルエンザ専門家Dr. Robert Websterは認めた。それでもDr. Websterはこの研究を実施することの必要性に疑念はな い。「科学は、脅威的なH5N1型ウイルスをもっと理解しなければならない。」 WHOは、承認された研究施設(もっともこうした施設は世界にもほとんどないが)に、こ うした研究を引き受けてくれるよう数ヵ月間にわたり要請を続けてきた。WHOは、鳥イン フルエンザH5N1型ウイルスがどの程度の確率で汎流行株に変異し、またヒトに対して鳥 インフルエンザH5N1型再構成ウイルスがどれほど致死性なのか(あるいは、そうでないの か)ある把握したいと考えている。得られたハイブリッドウイルスの全ての株が、重症疾患 を惹起しないのであれば、WHOは現在の高い警戒状態を安心して緩和することが出来るで あろうと、WHO世界インフルエンザ計画責任者Dr. Klaus Stohrは述べた。一方で、CDC の研究者らが、容易に感染性が強く致死率も高いハイブリッド株を作製できるのであれば、 「それは、明確に我々の懸念を裏付けるものとなる。この実験はリスク評価である。現在 の我々はリスク推測を行っているが、正確なリスク評価をしたいと考えている。その情報 により、汎流行ウイルス新興の可能性について、科学的な証拠が得られる」とDr. Stohrは 述べ、以下のように加えた。「この実験により、我々は生存可能な再構成(組み換え)ウイル ス株の数や、そのウイルス株中で感染伝播可能な株の割合、そしてさらには、生存可能で 感染伝播し病原性のあるウイルス株の割合に関しての知識を得るため、汎流行の可能性を 予測する機会を与えられる。そしてそれらのハイブリッド株がどの程度病原性であるかも 予測できるだろう。」 CDCの研究者らは生物学的封じ込めレベル3の安全性強化実験室で作業する予定であると、 世界的なインフルエンザの権威であるCDCインフルエンザ研究部責任者Dr. Nancy Cox は述べた。この研究室は、研究者らの健康状態を保護し、外界にウイルスが流出すること を防止するよう設計された特徴を持つ。「一般的なレベル3実験室ではない。」「(研究者ら も)H5型ウイルスの危険性に関して強く認識している」と加えた。 それでも実験室事故は発生する。2003年中盤にSARSが制圧されて以来、アジアで研究者 4名がこの致死的ともなりうるウイルス感染しており、うち1名は実験室外にウイルスを感 染伝播させてしまった。2004年それより以前に、ロシアの実験室スタッフが誤ってエボラ ウイルスに感染して死亡した。そうした現実から、このような(人工的な遺伝子組み換え 実験は)実施すべきではないと懸念を表明するグループもある。「もしもこの実験をCDC で実施するならば、安全対策が適切に実施されだろうという利点がある」とオランダ、ロ ッテルダムのErasmus 医学センターDr. Albert Osterhausは述べた。 CDCの研究者らは、どの組み換えが自己複製能や感染性を持つウイルスを作り出すのか検 討するため、鳥インフルエンザH5N1型ウイルス遺伝子と、世界で循環中のヒトインフル エンザウイルスの遺伝子を組み換える予定である。Dr. Coxは、最近数年大部分のヒトイン フルエンザ患者の病因となっているインフルエンザA (H3N2)型ウイルスが最優先されるだ ろうと述べた。しかしながら、東南アジアでは最近、1918年スペイン風邪汎流行の原因と なったA (H1N1)型株が軽症化した現代の変異株の活動性も認められている。そのためCDC では、最近タイで分離されたH1N1型ウイルス株も同様に遺伝子組み換え実験に使用でき るよう、遺伝子配列解析を実施している。 遺伝子組み換え実験には二つの方法があるとDr. Coxは述べた。研究者らは、リバースジェ ネティックス法、すなわち、それぞれの親株ウイルスからのあらかじめ決められた遺伝子 部位を用いて、意図した通りにウイルスを組み換えられる手法を用いることが出来る。Dr. Coxは古典的な手法と表現しているが、もう一つの方法は、H5N1型株とH3N2型株を組 織培養中で同時に感染させて結果を見る方法である。この方法は時間もかかるし、手間も かかるが、自然状態でのインフルエンザウイルス進化をより現実に近い状態で再現できる 利点がある。「我々はおそらく双方の異なる方法を組み合わせて使用することになると思 う」とDr. Coxは述べた。同氏は、CDCチームは研究を開始して2ヵ月以内にはある程度 の予備的結果が得られるものと考えている。CDCの研究者らは、1997年に香港で最初の H5N1型株感染ヒト患者から分離されたウイルス株を用いて、既にH5N1型からのハイブ リッドウイルスを作製している。「一部の遺伝子組換えウイルスは作製されたが、されなか ったものもある」というのが、今のところ未公表の研究の中でDr. Coxが明かそうとする全 てである。 [Moderator CP注:これらの実験計画は二つの点から歓迎されると思う。すなわち、もし 汎流行能力をもったウイルスができなければ、新たなインフルエンザ汎流行が切迫してい るとの最近の予想に関連したヒステリーの一部が払拭されるし、またもしもそうした(増 殖能、感染伝播能力、病原性の強い)ウイルスができるのであれば、この実験により鳥/ヒ トインフルエンザハイブリッドウイルスの抗原性の予測が進み、有効なワクチンの開発を 加速させることになる。] ●12-28(1229-0020)#C#旋毛虫症-ロシア(Jitomirskaya地域)# 情報源:Mignews.com.ua、12月17日。 Jitomirskaya地域で、旋毛虫症患者4名が記録される。 Jitomirskaya地域で、ブタから感染した旋毛虫症患者4名が記録された。農業省によれば、 今回の感染はKorostishko村で飼育されていたブタが原因で、農夫がブタを自家(消費)用に 屠殺した。住民11名が感染ブタからの食肉を分け合い、4名が旋毛虫症のために入院した。 当局により、感染拡大予防措置が執られた。 [Moderator注:小規模農家で、個人的な消費目的で飼育されたブタは、法的に必要な獣医 学的検査が実施されるとは限らない。こうしたブタは、通常肉類を含む台所の生ごみを飼 料として与えられ、小型げっ歯類と同様、感染源の一つとなる。旋毛虫症はロシアに広範 囲に分布するため、小規模施設で飼育され個人消費用のために屠殺されたブタ肉から作ら れたソーセージなどの製品は、必ずしも検査を受けていない;こうした食品の摂取は避け るべきである。] ●12-28(1229-0030)#Ec#ProMED-mail運営資金募金の広告、2004年(14)# 投稿者: Tam Garland (ProMED-mail動物疾患・人畜共通感染症Moderator)、12月28 日。 ProMED-mail編集部より、インターネットによる資金提供の依頼。 ●12-28(1229-0040)#Ep# Hop stunt viroid variant、柑橘類-インド(中央部):初報告# 情報源:イギリス植物病理学会誌New Disease Reports, Vol. 10、12月28日。 ラフレモンとライム(Rangpur lime)台木に接木したマンダリン(Nagpur mandarin)とオレ ンジ(Mosambi sweet orange)におけるHop stunt viroid variant (ホップ矮性化ウイロイド 変異株)発生の初報告。 ●12-28(1229-0050)#C#腎症候性出血熱-ロシア(Nizhniy Novgorod地域)# 情報源:Privolzhje News Agency、12月28日。 ロシア:Nizhniy Novgorod地域で、腎症候性出血熱(HFRS)流行。 Nizhniy Novgorod地域の州獣医学委員会からの記者会見で、2004年には、20年間で最多 のHFRS患者が報告されたと発表された。記者会見によれば、2003年には、HFRS患者数 はほぼ2倍に増加したが、2004年は年初からの8ヵ月間だけで、13倍増になったとしてい る。 2004年の患者数増加は、げっ歯類の住居建築物への侵入が増加したことが原因とされた。 この状況を改善するために、(関係機関の)協調した対応が要求されている。州獣医学サー ビス局は、獣医学的サービス、獣医学的衛生監視、HFRSベクターであるげっ歯類の駆除 の範囲を拡大している。 [ProMED-mail 投稿者Natalia Pchenitchnaia注:Nizhniy Novgorod地域は、中央ロシア のボルガ河沿いにある。この地域の総面積は75,000平方kmにおよび、この地域の人口は 約370万人である。大規模な工業・学術・文化都市Nizhni Novgorod市(人口140万人) は、Volga連邦特別区とNizhegorodskaya地域の中心地であり、VolgaおよびV'atka経済 地区の行政中心である。] [Moderator注:HFRSは、北部・東部ヨーロッパ、中央アジアとロシア極東地域全域に常 在しているが、その流行状況が変化しやすいことと編集部本来の関心のため、ProMED-mail ではHFRSの報告を今後も掲載していく予定である。しかしながら、2005年初頭からは、 HFRS流行を個別には報告しないで、定期的更新情報としてまとめて掲載する予定である。 HFRS流行は、概して主としてげっ歯類ベクターの集団サイズにより決定される。]
by sank100
| 2004-12-31 11:28
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